城所理事長コラム 〜第29回〜 「目がくらむような、お役人の対応の違い」 さて、わが「エスプラナードアカサカ」の通りは、おしゃれにリニューアル変身しました。 地下公共駐車場も、できました。 というわけで見まわしてみたとき、こんどは違法駐輪という現実を積み残してきたことに気付きました。 商店の前の道路や、とくに地下鉄駅の出入り口に、実に多くの自転車やバイクが乗り捨てられてあったり、放置されていました。自動車が少なくなっただけに、それがとても目立ちます。 先の駐車場の件で、まずそもそも駐輪場がないのに思い至り、そこで公共駐輪場を設けるように区にはたらきかけよう、ついては用地はないものかと、まず用地候補を探すことから取り組むことにしました。 用地は、すぐに目につきました。地下公共駐車場を作ったことによって赤坂見附交差点で一本の横断歩道の位置がずれました。ずれた結果、国道二四六号線の高架下の部分に空き地が生まれていました。駐輪場にするには百台くらい収容できるピッタリの広さです。 この目をつけた場所は、国道の下ですから、これまた建設省の所管区域です。地下公共駐車場を作った経緯から、そこを公共駐輪場にしてもらうのは容易だろうと察しをつけました。そのためには建設省に足を運び、然るべく申請してOKをもらわなければなりません。 まずは地下公共駐車場のご縁で勝手知ったる東京国道事務所に出かけました。またYさんに代わって人事異動で赴任してこられていたT所長は、その趣旨を聞くや、即「ウチはいいですよ。でも管理は港区になりますが、駐輪対策がいちばん遅れていると聞く港区が管理をやってくれますかね」とのことでした。 よし、と思いました。ちょうど港区で「環境協議会」というのを立ち上げ、わたしはその委員を委嘱されていました。 わたしは、その第一回の会合で「赤坂には、非常に違法駐輪が目立ちます。そして残念ながら港区は、駐輪対策が東京で一番遅れていると聞きます。どうでしょうか、この環境協議会として、港区が駐輪対策に真剣に取り組むよう働きかけてはいかがでしょう」と発言しておりました。 その場は、それはいい、是非やりましょうということになって、これはうまくいきそうだと確信しました。 ところが、です。思わぬ形で紆余曲折しました。そして言い出した私としては、その実現に向けて港区と建設省を行ったり来たりする羽目に陥りました。 建設省で自転車駐輪を担当している部署に行くと、それは国道に関することだからその部署へ行ってくれと二回ばかりタライ回しされ、ようやくのことで担当者にたどりつきました。 さて用件をと話しだすやいなや「あそこは緊急車輌の待避場ですから無理です」とケンもホロロでした。そのわけをよく聞くと、その空き地は、なんと除雪車などのために使うのだとか。 あきれかえってしまいたした。東京都心の冬で年に三、四回も雪が降るでしょうか。それも雪かきに仰々しく除雪車を使わなければならない機会が一回あるかないかという、そういうために都心の公道でニ、三百平米の空き地を確保しておかなければならないのでしょうか。 一方で、毎日毎日問題となり「早急に解決しなければならないのが駐輪対策でしょう。それなのに、一年に一回使うか使わないかの問題のために空けておくのは理不尽ではないですか」と口を酸っぱくして申し上げても、テキはのらりくらり・・・・・。 のれんに腕押しとは、このことでした。なかなかラチがあきません。 業を煮やして、わたしは駐車場でお世話になったSさんに事のいきさつをお話しました。たまたま赤坂方面にこられていたのでお会いし、ご相談したのです。お役所仕事を詰問し、感情的に訴えたかもしれません。 それが夜九時ごろだったでしょうか。するとSさんは「わかりました。ちょっとだけ待って下さい」と、わたしの目の前で携帯電話でニ、三人に連絡をとりテキパキ指示なさいました。もうSさんは、かなり権限がおありの立場に出世なさっていたのでしょう。 翌日のことです。例の建設省の担当官から「あれは駐輪場としてお貸しすることになりました」と、そっけなく返事がきました。 あまりに変わり身が早いというか、そのコロッと変わって平然としている凄さに、呆気にとられました。 ともあれ、そうして建設省のOKをもらって港区にとって返し、区も管理をOKして公共駐輪場ができました。 たびたび引き合いに出しますが、かつて建設省の駐車場対策専門官でいらっしゃったSさんとは、あのときお茶一杯ご一緒せず、いうなれば事務的に二回しかお会いしなかった付き合いです。 地下公共駐車場を作るに際しては、そういう間柄でも、また赤坂という小さな商店街から発信しても、真面目に、しかし熱意をもって取り組めば、それに応えてくださる真面目で熱心なお役人がいて、そうして大きく国を動かすこともできるという好例だと、半ば自画自賛めいて振り返ることのできる出来事でした。 そういう想いと、こと駐輪場に関してあきれかえったお役人の対応と、そのあまりに大きな落差に、正直いって目がくらむほどに戸惑ってしまいます。 商店街振興組合 エスプラナードアカサカ 理事長 城所 ひとみ 商店街振興組合エスプラナードアカサカ 〒107-0052 東京都港区赤坂3-10-5 赤坂クインビル4階 TEL:03-5561-9125 FAX:03-5561-9128