城所理事長コラム 〜第25回〜 「そう、ここは「おしゃれな散歩道」なのです」 わたしども赤坂田町通りの環境を考え、そのコンセプト作成に打ち込んでいたとき、その街づくりに明確な指針を示してくださった先生がいらっしゃいます。 多摩大学で経営学を教えてられるM教授です。商店街振興組合エスプラナードアカサカ(当時は赤坂田町通り会)の一員でもあった東京三菱銀行赤坂支店の徳田支店長が、自分も街づくりに関心があるが、ついては街づくりについてコンサルティングをしているというのでご紹介くださったのです。 早速ご連絡をさしあげると、M教授は赤坂の街づくりに専門家として非常に興味を持ってくださって、とにかく現地視察をしようと、わざわざ赤坂まで出向いてこられたのです。 こられるやいなや先生は、すぐに赤坂田町通り全長六百五十メートルを行ったり来たり・・・・その間、目を皿のようにして細かい点までご覧になり、あるいは散策する感覚で全体像をつかもうとなさり、最後におっしゃいました「うーん、この通りはパリのフォーブル・サントレーノのようだね」と感想を口になさいました。 フォーブル・サントノーレというのは、パリの大通りの一本裏のある通りで、幅員も赤坂田町通りと同じくらいの道だそうです。それだけではなく、道の両側にある商店や事業所の街並みも含めて、その条件が非常に似ているのだとか。 つまりホテルやオフィスビルが立ち並ぶ外掘り通りから一本入って、外人さんも行き交い、よく見ると花屋さんが何軒かあり、老舗の菓子屋さんがあって、飲食店も並んでいるあたり、まったく条件的には瓜二つ。 ただし赤坂田町通りの雰囲気そのものはいささか貧弱で、ブランドショップやおしゃれなカフェやレストランが点在していてパリっ子が愛してやまないフォーブル・サントノーレと、そこが違うとおっしゃいます。 そこでわたしどもは「こう考えています」と、たくわえた考えと具体プランをお話しました。するとM教授は、それはいいと賛同してくださり、さらにブラッシュアップするようないくつかのアドバイスをくださったのです。 そして「そうすれば、ここはエスプラナードになるよ」と、一言おっしゃいます。エスプラナードとは、英語で「(貴族が好んで歩くような)おしゃれな散歩道」という意味だそうです。 それまで、どういう赤坂田町通りにしようかとわたしたちが論じ合っていたとき、例えば「オールド・モダン」といっても黒板塀の料亭や高級キャバレーの昔と、近代主義的な街の、二つの融合をイメージしていたような気がします。 でも先生の一言で、目からウロコが落ちました。そういう見習うべきハイセンスな通りがパリにあったのか、その「おしゃれな(貴族風の)散歩道」というコンセプトは、身だしなみの良い街の通りとしてはぴったりじゃないかと思ったのです。 それからです、赤坂田町通りを「エスプラナード」と改名しようと発案されました。 なかにはこれまでの「赤坂田町通り」に未練を残す人もいましたが、いつまでも黒板塀の料亭や高級キャバレーを引きずる名称でもあるまいという意見がとおって、新装なる通りの名を「エスプラナード赤坂通り」とすることが決まりました。その実質的な名付け親は、M教授です。 その「エスプラナード赤坂通り」と正式に名乗るようになったのは、のちに道路改修の第一期工事が完成した平成九年の初夏からのことですが、その前に「赤坂田町通り会」という任意団体の商店会を法人化して「商店街振興組合エスプラナードアカサカ」と改めることにしました。 商店街振興組合 エスプラナードアカサカ 理事長 城所 ひとみ 商店街振興組合エスプラナードアカサカ 〒107-0052 東京都港区赤坂3-10-5 赤坂クインビル4階 TEL:03-5561-9125 FAX:03-5561-9128