城所理事長コラム 〜第20回〜 「問題は国がどう動くか」 お二人は、見つけてきてくださいました。政治の舞台として有名な千代田区永田町から渋谷方面へと貫く国道二四六号線の、ちょうど赤坂見附の交差点に近い地下に、大きなコンクリートで囲われた穴があるというのです。 その頃には赤坂も含めて都心の幹線道路で地下協同溝の工事が行われていましたが、穴はその工事のための資材置き場として活用されていたスペースでした。しかし間もなく協同溝工事が終わり、そこは規則で埋め戻される手はずになっているとのことです。 まったく大きな地下スペースでした。せっかく掘ったスペースを、また埋め戻すとは、いかにもお役所仕事だなぁと苦笑いを禁じえなかったのですが、わたしどもとしては切実に「埋め戻さずに、公共駐車場に転用して欲しい」と願いたいところです。 喉から手が出そうなその場所、国道の直下にあります。いうまでもなく管轄は国にあり、そうなると国を相手に口説き落としが必要です。 えらいことを思いついたものだとは思いましたが、とにかく当たってみるしかないと、田村さんと宮木さんにご一緒していただき三人で建設省(当時)に出かけることにしました。 そういうことなら駐車場対策室だというので、その部屋を訪ねました。そこは、資料の山がうずたかく積まれていて、その山に囲まれていくつかのデスクがあるという部屋でした。その山の谷間に駐車場対策専門官と名乗る鈴木克宗さんという人が坐っていました。その席のそばにも資料の山が迫っていて、坐る場所などありません。わたしたちは立ったまま話しかけるしかありませんでした。わたしたちの話を聞いた鈴木さんは、そのときは「それでは一度そこを見に行きましょう」と応じてくださいます。そして実際、ほどなくして連絡が入り、現場を見に来てくださることになりました。 わたしは、ただ見てもらうだけではインパクトが弱いだろうと想像し、なんとか具体的なプランのようなもので印象づけられないものだろうかと、田村さんと宮木さんにご相談しました。子どもの使いではないのですから、なにか具体的な形としての提案にしたかったのです。 すると、お二人はマスタープランを作ろうと言ってくださいました。そしてお二人で相談なさったのでしょう、ラフではありますが作成した図面を持参されました。それぞれ専門家とはいえ、本来の業務の合間に描いてくださったのです。ありがたいことでした。 さて実施に検証にこたえられた駐車場対策専門官の鈴木さんは、わたしどもの説明を聞きながら現地をひと歩きし、こちらが用意した図面を見たのか見なかったのか、最後に「個人的興味は覚えます」と一言おっしゃって、そして帰って行かれました。 わたしどもは三人で顔を見合わせました。みんな、ガッカリした顔だったと思います。お役人が素っ気無く「個人的興味は覚えます」とは、まさしく公的には興味ない、できない相談だ・・・ということを意味していると思ったのです。 これで、窮余の思いつきもダメかと、三人も、そして報告を聞いたトーク赤坂21のメンバーも商店街の面々も、すっかり肩を落としてしまいました。 それから三年あまり経ちました。公共駐車場のことは悔しい想いだけが尾を引いて、残念ながら手作りのプランはお蔵入りかと忘れかけていました。 商店街振興組合 エスプラナードアカサカ 理事長 城所 ひとみ 商店街振興組合エスプラナードアカサカ 〒107-0052 東京都港区赤坂3-10-5 赤坂クインビル4階 TEL:03-5561-9125 FAX:03-5561-9128