城所理事長コラム 〜第15回〜 「じつは「赤坂で暮らす」人の集まりでした」 さてトーク赤坂21については、ただ漠然と集まって雑談するというのでは、そのうち集うことが無駄だと思う人が出るのではないかと心配し、原則として例会にはその都度テーマを決めて講師(パネラー)をお呼びし、シンポジウム形式で運営しようということにしました。 初回の例会を開いたのは平成2年の2月でした。パネラーとして街作り研究所の代表もなさっている山梨学院大学の大川照雄教授が来てくださることになりました。その第一回目の例会を開くときには、トーク赤坂21の会員も四十人ほどに膨らんでいました。 その後もパネラーとして経営コンサルト、都市計画家、マーケティング専門家、ジャーナリスト、アーティストと、初めは幹事役の知り合いを呼び、そのうち会員の伝手で呼び・・・と、多士多彩なパネラーを囲んで例会が盛り上がりました。 ときには警視庁の防犯課の方や大蔵省財務局のプリペードカード担当の方が講師になったこともありますし、また会員メンバー自身がパネラーになったこともあります。 とはいえ、例会は講師の話を聞くだけの講演会ではありません。パネラーの話が終われば、それをネタに侃々諤々、あるいはテーマを外れてでも大いに語り合いました。お弁当を食べ、コーヒーか缶ビールを飲みながら、口角泡を飛ばしています。一人として黙って聞いているだけの人はいません。 みなさん一家言あって、一言でも二言でも語りたいから集まっているのです。また「赤坂」という街のこと、そして街づくりに関連することならなんでも語っていただきたいから用意した場です。 会員は、先ほどあげたような赤坂地区に立地する大手企業のビジネスマンがほとんどです。そういう会社の部長級の人もいます。キャリアウーマンもいます。ただし、いずれも会社を代表して出席するというのではなく、それぞれが自由な個人として自分の意志で参加しているのです。 そして商店街の役員や、また商店主、自営業者もいて、みな同じ「赤坂を愛する」トーク21のメンバーとして自由な話合いをしています。 日商岩井に勤めるモーレツ商社マンだったと思いますが、おもしろいことをおっしゃっていました。 「朝も早く六時ごろには起きて、通勤に一時間半かけて赤坂に出てきて、外回りする以外は、昼には赤坂の街に出て昼飯を食い、午後ずっと働いて、そのまま残業するのでなければ夜には赤坂のネオンの下で飲み、深夜になって家に帰ってバタンキューと寝る。土曜日は取引先とゴルフに行って、日曜日は疲れているから家で一日中寝転んでいて、そしてまた月曜日がきて・・・と、わが家で起きている時間はわずかで、そこは住まうというより寝るためだけの場のようなんだ。隣近所に住む人の顔も知らず、ましてや家がある地域社会とは無縁も同然で、ゴミを出すにしても、また町会費を出したり会合に出るにしても、それは女房の世界。それに比べて、起きた状態で自分が赤坂で過ごす時間というのが、とても長いんだよね。まるで、ほとんど赤坂で暮らしているようなもんだよ」 そのように赤坂が「自分の暮らす地域社会だからこそ」と、彼は「暮らしよい街であってほしい」と、トーク赤坂21に顔を出すのだと言っていました。わたしはそのお話を聞いて「わが意を得たり」と、とても嬉しく思いました。 商店街振興組合 エスプラナードアカサカ 理事長 城所 ひとみ 商店街振興組合エスプラナードアカサカ 〒107-0052 東京都港区赤坂3-10-5 赤坂クインビル4階 TEL:03-5561-9125 FAX:03-5561-9128