城所理事長コラム 〜第11回〜 「器が問われる仕事に就いたのだと身が引き締まりました」 赤坂田町通り会の会長に就任した当初、わたしは「ヤッカン通り」と、まさに四つに取っ組み合うように全精力を傾けました。 でも、そういうことに追われるだけでは使いっ走りの会長にすぎないのでは・・・・と、そもそも「ここを、どういう商店街にしようというのか」という展望が必要だと考えるようになりました。 そうした折り、I.Yさんという友人とお茶飲み話をしていて、伊藤さんのご主人が当時は三重大学の教授(現・名古屋産業大学学長)をなさっておられ、そして津市の街づくり調査委員長をされていることを知りました。 「ねえねえ、ご紹介して」とおねだりし、もちろん伊藤教授のご高説をうかがったのは当然として、その委員長としてかかわっている対象の商店街を紹介いただいたのです。 そして副会長はじめ役員ともども、三重県津市まで見学旅行にでかけたのです。行くお目当ては、同市の丸の内商店街振興組合。伊藤教授から、同商店街が当時の通産省から表彰されたと聞いていたのです。 そのときのことは忘れません。なにより振興組合理事長のK.Mさんという方の歓迎ぶりが心に染みました。 大仰に歓迎されたというわけではないのですが、はるか年輩のK理事長が、どこまでも腰を低く「いや自分はたまたま先輩というか兄貴分というだけのことで、あなた方のようなフレッシュな方たちは新しい感覚でどんどんおやりになればいいんですよ。まあ、ただ何年か前から体験してきた点で参考になることがあるようでしたら、老婆心ながら経験者としてお話しますから、どうぞなんでもお尋ね下さい。」と、その大きな懐に包み込まれるようでした。 商店街として具体的な点では、地域性や規模、条件の違いから、そのまま赤坂田町通りの商店街と重ね合わせることができたわけではありません。でも、商店街で通用する独自のプリペイドカードを発行するなど、数々の新しい試みに取り組んで商店街を活性化しようと努力なさっているその姿勢には、見学者みな、大いに刺激を受けたものです。 それよりもっと参考になったのは、別なことです。この津市丸ノ内商店街は、全国各地の商店街が任意団体としての「商店会」であるのと違って、法人化された「振興組合」でした。また「事務局」を設けて専任の事務局長を置き、その事務局機能に事務的ないっさいの仕事を任せることによって、役員は、大所高所からの将来展望や企画立案の判断ないしは決断に集中できる体制をとっておられました。 そのしっかりした商店街活動と運営の実際には、目を見開かされました。このことで赤坂田町通り会の役員全員の間に、その組織の将来いずれの時点かでの振興組合への移行という課題がイメージされたことは間違いありません。その点が一番参考になったわけですが、わたしには、何より理事の全員が「街をよくしていこう」という強い決意で一致なさっていることと、そういう空気をかもし出しているといいますか、自分たちの商店街を自分たちで活性化させようという方向で包み込みリードなさている鯉江理事長の、その人間性の大きさが、とても感動的で印象づけられました。 わたしには、そういう人間の器というものがそなわっているのだろうかと省みて身の引き締まる想いがし、会長という職に就いたことの重みというか責任を、このとき初めて痛感したのです。 そして横浜の元町商店街を見学に訪れたとき、その商店街のN会長が「商店会の運営においても、商店街をどうするかという観点でも、結局はヒトの問題が、究極の問いであり、答えになるポイントです。」とおっしゃていた言葉を思い起こしていました。 商店街振興組合 エスプラナードアカサカ 理事長 城所 ひとみ 商店街振興組合エスプラナードアカサカ 〒107-0052 東京都港区赤坂3-10-5 赤坂クインビル4階 TEL:03-5561-9125 FAX:03-5561-9128