城所理事長コラム 〜第10回〜 「韓国の人とも、すっかり懇意になりました」 ヤッカン通りの整備ですから、もう一方の韓国出身の方々との折衝も、役員みんな難航を予想していました。 赤坂田町通りは、焼肉屋など韓国料理のお店や、俗に韓国バーと言われるお店が非常に多かったのです。 わたしは、この件でも赤坂警察署長に相談しました。署長さんのご返事は、ヤクザの場合のように適切な人物かどうかはわからないが、日本における韓国料飲業界の組織のトップが赤坂田町通りにいらっしゃると教えて下さいました。 その方は韓国料飲組合の理事長だとのことです。その組合事務所が赤坂田町通りにあったのです。とにかく会ってみようと、出向くことにしました。 例によってH副会長が同道しましたが、わたしの思い立ったが吉日という行動力はHさん先刻ご承知です。いやな顔ひとつなさらず、ご一緒していただけました。 赤坂警察署長も気をきかせて事前に電話を入れてくださっていたようで、にこにこと迎えてくださったその方はY.Tと名乗られました。 こちらの用件を聞き終えるか終えないうちに、そのYさんは、突然わたしの両手を強く握りしめたのです。 そして、こうおっしゃいます。「わたしたちは日頃から赤坂で世話になっています。そして赤坂が銀座に負けない素晴らしい街になったらいいなと、いつも願っています。でも、わたしたちは嫌われ者です。本心を言うと、いままでも何か街づくりのお手伝いができないかと思い、ときには当方から出向いて申し出ていたのですが、どなたも本気で受け止めて下さいません。ところが今日、赤坂田町通りの商店会さんのほうから出向いてこられた。会長さん自らがお見えになったんですねぇ」と感極まって、涙を浮かべられるではありませんか。 わたしは心を打たれました。思わず感動しました。 事はとんとん拍子で進み、おかげで道路改修工事に関しての承諾書は、ヤクザがらみのお店も、そして韓国系のお店も含めて、四百数十件すべてについて一軒たりともトラブルがなく、また当方として嫌な想いを一度もすることなく、三ヶ月足らずで集め終わりました。 さっそく全関係者の署名捺印がなされた承諾書に要望書を添えて提出するために港区役所を訪れたところ、応対にでられた港区長の驚くまいことか・・・。 目を見開いて「道路整備というと、関係者全員の承諾を得るのに、ふつう三年かかって当たり前。たいてい何軒か反対して、それを口説き落とすのに時間と労力がべらぼうにかかり、ときにはトラブルから途中で地元のヤクザがでてきてかきまわされたり、それはもう大変なんですよ。それが、わずか三ヶ月ですか。いやぁ、驚きました」と。 こうして、他の例にならって悠長に構えていた港区は、大慌てで予算その他の措置を講ずるや、異例のはやさで道路整備工事に着手してくれました。 商店街振興組合 エスプラナードアカサカ 理事長 城所 ひとみ 商店街振興組合エスプラナードアカサカ 〒107-0052 東京都港区赤坂3-10-5 赤坂クインビル4階 TEL:03-5561-9125 FAX:03-5561-9128