城所理事長コラム 〜第8回〜 「ヤッカン通りと取り組むことになりました」 さて話は戻ります。当時つまり十年あまり前までの赤坂をご存知の方なら、あるいは「ヤッカン通り」という言葉を耳にしたご記憶がおありかもしれません。 赤坂見附から溜池、虎の門へとつながる通称「外堀通り」という都道に面して大手銀行・金融機関のビルやゼロックス本社などが立ち並ぶ、その裏手に沿っている通りが赤坂田町通り(当時)です。 わたしが「赤坂田町通り会」の会長になった十年あまり前は、高級料亭がなくなって廃墟を連想させるかのように静まりかえっていて、まるで街全体が荒れたような感すらあった商店街通りでした。そういう間隙に入り込んできたのが、通りに面しているビルのテナントさんとして、ヤクザがらみの経営になる風俗店や飲食店であったり、また韓国系のビル所有者やテナント料飲店だったのです。 そうして、いつしかこの通りは別名「ヤッカン通り」と呼ばれるようになっていたのです。日本人の悪い癖で外野から蔑みをこめてそう呼んだのか、地元が自虐的にそう呼ぶようになったのか、定かなことはわかりません。 さて会長になったわたしは、さっそく「ヤッカン通り」と直面せざるをえませんでした。 道路を整備するにあたっては、この通りは区道ですから整備工事の主体は港区です。区からは、「ビル所有者、入居者すべての了解が必要」と申し渡されていました。 つまりオーナーばかりではなくテナントも含めて、利害がかかわるすべての当事者の署名を漏れなく集めて意思統一をみたことを示さなければなりません。こういう署名集めというのは、どこの商店街でも難儀すると聞いています。 わたしは一計を案じました。とりあえず赤坂警察署を訪ねることにしました。そして署長さんにお目通り願い、商店会長への就任の挨拶がてら、忌憚なくズバリ「ヤクザさんと付き合うには、どうしたらいいですか?」と尋ねたのです。 あっけらかんと「ヤクザさん・・・・」などと言うものですから、署長さんもびっくりなさったようですが、すぐに真顔で「では、どこそこにある事務所を、まず訪ねなさい」と教えてくださいました。そこは当地を仕切っている組事務所だとのことです。 署長さんが「暴力団組長というより、地元に根を張った昔ながらの組の親分です。と注釈をつけてくださったのですが、暴力団組長と組の親分がどう違うのかわからないわたしです。とにかく副会長のHさんと一緒に、その人に会いに行くことにしました。 商店街振興組合 エスプラナードアカサカ 理事長 城所 ひとみ 商店街振興組合エスプラナードアカサカ 〒107-0052 東京都港区赤坂3-10-5 赤坂クインビル4階 TEL:03-5561-9125 FAX:03-5561-9128