城所理事長コラム 〜第6回〜 「どうしてわたしが会長に?」 そうした、まあ楽しい日々が半年ばかり続いて、そして次の年が明けた早々に、事態は思わぬ方向で次のステップへと進展してしまったのです。 当時の赤坂田町通り会で会長をなさっていた方が、お家の事情で任期半ばにして職を辞さなければならないということになりました。 その急な会長辞任という事態を受けて、後任会長を選ぶための役員会が開かれた、その場でのことです。 こういう場合、ふつうは副会長か、または然るべき幹部役員が、とりあえず後を継ぐのが当然でしょう。 そうなるものと思い、わたしは新人で、しかもその場で男性にまじってのたった一人の女だったということもあって、遠慮して末席に座り事の成り行きをそのまま受け入れるつもりでいました。 実際、赤坂という東京も都心で、土地持ちか、建物を構えて永年にわたり営みを続けてこられた、いってみれば都会の旦那衆が役員に名を列ねておられる商店街のことですから、会長候補には事欠かないはずです。わたしは、あくまでも末席をけがしているだけのこと・・・・。 さて集まりの冒頭、T.Sさんという副会長が、開口一番「前会長を補佐し精励してまいりましたが、わたしももう還暦でして、老兵は去るのみです。会長が辞められるからには、わたしも身を退きたいと思います」と宣せられました。 えっと快訝に思ったのもつかの間、ついては・・・と、いきなり「次の会長を推薦したいのですが、ここで心機一転、城所ひとみさんにお願いしたい。その理由は、まず当商店会は、今度道路整備という大きなプロジェクトを抱えることになりました。これは、おそらく十年がかりの仕事になるでしょう。わたしのような年寄りでは、体力と気力がもちません。若い方でないと務まりません。それといま一つ大きな理由として、わたしは、これから女性のパワーが世の中をよくするものと信じています。そういうわけで、城所さんを推薦します。」とおっしゃるではありませんか。 驚くわたしの耳に、間髪おかず例のHさんの声が飛び込んできました。Hさんは会計という副会長に次ぐ役職ですから、副会長が継ぐのでなければ自分が後任会長に就任して不思議はない立場のはずです。 そのHさんが「いやぁ、副会長がおっしゃる前に、わたしも言い出そうと思っていました。この半年あまりの城所さんの道路環境整備部長としての働きぶりを拝見して、つくづく感心しています、非常に熱心で、エネルギッシュに行動し、その実行力は女性という枠を超えて、感動をおぼえるほどです。ぜひ、この方に商店会の将来を任せたい」と演説なさるではありませんか。 満場、これを「なるほど」「そうだ」などと受け入れそうな声が飛び交います。 あ然としました。驚きました。もう事態の思わぬ展開に戸惑ってしまい、ただただ顔が下にうつむくばかりです。 商店街振興組合 エスプラナードアカサカ 理事長 城所 ひとみ 商店街振興組合エスプラナードアカサカ 〒107-0052 東京都港区赤坂3-10-5 赤坂クインビル4階 TEL:03-5561-9125 FAX:03-5561-9128